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金属アレルギーの検査・診断

金属アレルギーが疑われる場合、本当に金属アレルギーなのかどうか、そしてアレルギーを起こしている原因金属物質を特定して治療を進めていく必要があります。金属アレルギーの検査には以下のものがあり、診断していきます。

パッチテスト 少量の金属試薬を肌につけて皮膚反応を診て、アレルゲンを特定していきます。
口腔内検査 視診やレントゲンにより、口腔内と歯の治療状況をチェックして、どの部位に金属治療物があるか調べていきます。
歯科金属検査 かぶせ物やつめ物が変色している場合、金属の帯電試験や漏出度を測定して劣化、腐食具合を検査します。
リンパ球刺激試験 リンパ球幼若化テストとも呼ばれる検査です。採取した血液から培養したリンパ球に、原因と思われる金属イオンを加えて、その過敏性を確認する検査方法です。
金属含有レベル検査 血液中に含まれる有害金属の含有レベルを測定します。
唾液検査 唾液の分泌量やpHなど、唾液の性質を測定します。
毛髪ミネラル検査 毛髪を採取し、体内に蓄積している有害金属レベルやミネラルバランスを測定します。
生活環境アレルギー検査 疑わしいアレルゲンすべてを対象とした総合的なアレルギー検査です。

このようにいくつかの検査方法があります。特にパッチテストは検査自体の簡便性やコストだけではなく、金属アレルギー原因物質の特定しやすさといった観点から、第一選択される検査方法です。さとう歯科では皮膚科と連携し、主にパッチテストと口腔内検査を組み合わせて、金属アレルギーの検査・診断、金属アレルギーの原因となる金属を特定していきます。

これからパッチテスト検査の流れ、特定可能な金属について説明していきます。

 

パッチテスト(皮膚貼付試験)

パッチテストの目的

パッチテストの目的

パッチテストは、アレルギーの有無または現症状の原因を調べるために行う検査です。原因となりうる物質は非常に多く存在し、人によってはこれらの物質がごく少量でも、皮膚に触れるとアレルギーを起こすことがあり、これを「接触性皮膚炎」と言います。この原因となる物は、私たちの日常生活の身の回り物すべてが対象となり得ます。そして皮膚や粘膜症状が繰り返し起こる場合には、パッチテストが最も簡単で信頼性の高い検査方法なのです。この検査であなたにアレルギー反応を起こすような物質(アレルゲン)が発見された場合、これを取り除くことが、現症状の改善に一番重要かつ近道となる治療法となります。

パッチテストの方法

パッチテストの方法

パッチテストとは、検査用絆創膏につけた検査試薬物質(アレルゲンと考えられる物質)を貼り、2日後(48時間後)、3日後(72時間後)、7日後(168時間後)に、その個所にみられる皮膚反応を判定するアレルギー検査です。検査は判定日を含めると4回通院していただく必要があります。
調べられる金属の一覧は以下に挙げてありますが、アレルギーのある患者の陽性率の高い金属としては、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、銀、アンチモン、白金、金、水銀などがあります。それら金属と同時に歯科材料として使われているレジン(プラスチック樹脂)やセメントなどについても検査をすることがあります。
検査の副作用として、試薬を貼りつけた部位がかゆくなったり赤くなったりすることがあります。肌の弱い方では、絆創膏でかぶれることがあります。まれに、アレルギー以外に特病として発症している皮膚病などが悪化することがあります。
ネックレスやピアスなどのアクセサリー、メガネ、指輪、時計バンドなどによるアレルギー症状がある方、または過去にあった方は、歯科治療で金属を使用する必要が生じた場合には、事前にパッチテストを受けておいた方が良いでしょう。

パッチテストの流れ

  1. ①パッチテスト用絆創膏に番号を記入、白色カバーを剥がしてパットに試薬を滴下、または塗布します。
  2. ②皮膚に貼付後、残存する白色カバーを剥がします。印字(番号、記号)してフィルムを剥がし、皮膚に密着させます(必要に応じてガーゼで覆います)。
  3. ③貼付2日後(48時間後)、パッチテスト用絆創膏を剥がして、その30~60分後に判定基準に従って判定を行い、判定用紙に記入していきます。判定後、試薬貼付部位がわかるように印をつけ、ガーゼで覆います。この日のパッチテスト用絆創膏除去後からは、入浴は可能となります。
  4. ④貼付3日後(72時間後)、貼付部位のガーゼを剥がして判定を行い、判定用紙に記入します。判定後、試薬貼付部位がわかるように再度印をつけ、ガーゼで覆います。
  5. ⑤貼付7日後(168時間後)、貼付部位のガーゼを剥がして判定を行い、判定用紙に記入します。7日後は遅発反応を見る目的で行います。

パッチテストの注意点

  • 汗をかく激しい運動はしないでください。
  • テープを貼った後2日後の判定が終わるまでは入浴しないでください。
  • 深酒や香辛料を使った刺激のある食事は避けてください。
  • パッチテスト期間中はアレルギー反応を抑える薬(ステロイド、鎮痛薬(NSAIDs)、抗アレルギー薬など)の服用を中止してください。
  • テスト部にかゆみが出た場合でもかかないようにしてください。
  • 女性の方はテスト期間中、ブラジャーやボディースーツなど背中を強く圧迫する下着は着用しないでください。反応を増強させ、確実な判定が出来ません。
  • パッチテスト部分は判定毎にマジックでマークします。汚れてもかまわないアンダーシャツを着用してください。

パッチテストの副作用

  • 一時的にアレルギー症状が悪化する可能性があります。
  • 非常に稀ですが、試薬を貼ることにより新たな感作を生じる可能性があります。
  • 皮膚症状が強く広範囲に出ているときはパッチテストが行えない場合があります。
パッチテストで調べられる歯科用金属
  • 金(テトラクロロ金酸)
  • イリジウム(四塩化イリジウム)
  • 銅(硫酸銅)
  • クロム(硫酸クロム)
  • 鉄(塩化第二鉄)
  • 銀(臭化銀)
  • 水銀(塩化第二水銀)
  • 亜鉛(塩化亜鉛)
  • 白金(塩化白金酸)
  • マンガン(塩化マンガン)
  • スズ(塩化第二スズ)
  • クロム(重クロム酸カリウム)
  • コバルト(塩化コバルト)
  • ニッケル(硫酸ニッケル)
  • アルミニウム(塩化アルミニウム)
  • インジウム(三塩化イリジウム)
  • パラジウム(塩化パラジウム)
  • チタン(酸化チタン)
  • チタン(塩化チタン)

 

皮膚科と歯科との連携診療の重要性

皮膚科と歯科との連携診療の重要性

金属アレルギーの治療にあたり重要なことは、皮膚科と歯科との連携治療です。歯科医師の場合、とかく歯科金属材料の除去治療に偏重してしまい、他のアレルギー原因を見落としてしまう事があります。同様に皮膚科医の場合は、その専門領域に注視しがちになります。しかし金属アレルギーの原因除去には、連携を取りながら治療を進めていかなければならないことも少なくありません。特にあなたが下記の表「見いだし症候群」に当てはまる場合は、連携診療こそが難治性の皮膚疾患を完治させる治療のポイントになるでしょう。

歯科的な立場からすると、口に中に原因を求めがちになりますが、金属アレルギーの原因は腕時計や眼鏡などの装身具、アクセサリー、鍋などの調理用品などの日常生活で使用する金属製品に潜んでいる場合も少なくありませんし、アトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症などのように、病巣感染が症状増悪因子として関連が指摘されていたり、あるいは扁平苔癬のように全身疾患の関与が疑われるものもあります。また金属アレルギーと疑われていた病状が、そもそもアレルギー疾患ではなく、糖尿病や肝疾患、高血圧症などの内科的な全身疾患であったり、喫煙などの嗜好品、精神的要因による場合もあります。

医師が全ての病気の知識に精通しているわけではありません。それぞれの専門分野があるように、皮膚科医が意外と歯科治療の具体的な内容や歯科材料の詳細に情報不足な場合もあります。逆に歯科医師が金属アレルギーの知識を全く持ち合わせていないこともあります。

このように金属アレルギー治療を進めていくうえで皮膚科と歯科との連携プレーは必要不可欠な要件と言えるでしょう。連携して患者さんの情報交換をすることより、いままで暗礁に乗り上げていた、なかなか治らない難治性皮膚疾患の原因検索に新たなヒントが見つかることは多いのです。

もちろんさとう歯科では皮膚科との連携体制を整えています。神戸大学医学部附属病院皮膚科と綿密に連携を取り、金属アレルギー治療に取り組んでいます。

見いだし症候群
  • 皮膚科などで長期間治療をしているが、増悪因子が特定できず、アトピー性皮膚炎や難治性の皮膚・粘膜疾患が治らない。
  • 普段からアクセサリー、ピアス、革ベルトなどの装飾品や装身具などの金属製品にかぶれやすい。
  • 金属の被せ物、詰め物などを入れる歯科治療をした後、アトピー性皮膚炎などが発症し、それが難治性になっている。
  • 夏場など汗をかくと、アトピー性皮膚炎の症状がひどく悪化する。

身体にやさしいメタルフリー治療についてくわしくはこちら

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